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マットレスの選び方|硬さは「寝た姿勢の腰のすき間」で決める・敷き布団との違い
マットレスは毎晩体を預ける、寝具の中でいちばん大きな買い物です。ところが売り場では「硬め」「柔らかめ」「高反発」「低反発」と言葉が並ぶばかりで、自分にどれが合うのかは判断しにくいものです。この記事では、厚生労働省の健康情報サイト(e-ヘルスネット)の解説をもとに、硬さを「寝た姿勢で腰のすき間がどれだけ残るか」で判断する方法と、買う前に確かめたいポイントを整理します。
CONTENTS
マットレスに求められる2つの役割
e-ヘルスネットでは、寝具には寝ているときの保温と、良い寝相(立っている姿勢に近く、体への負担が少ない姿勢)を保つことという2つの大きな役割があると説明しています[1]。マットレスや敷き布団は、このうち「姿勢を保つ」役割の中心です。
高価なものほどよく眠れる、とは限りません。シェイクスピアの『ヘンリー四世』には、豪華な寝室にいながら眠れない王が、粗末な寝床でも眠っている民をうらやむ場面があります。
おお眠りよ、やさしい眠りよ、自然の柔らかな乳母よ。私はどれほどお前をおびえさせてしまったのか。もうお前は私のまぶたを重くしてはくれないのだ。(拙訳)
"O sleep, O gentle sleep, / Nature's soft nurse, how have I frighted thee, / That thou no more wilt weigh my eyelids down"
ウィリアム・シェイクスピア『ヘンリー四世 第二部』第3幕第1場(Project Gutenberg 版)[2]
大切なのは値段や評判より、自分の体を自然な姿勢で支えられるかどうかです。その判断の目安を次に見ていきます。
マットレスの硬さはどう選ぶ?腰のすき間2〜3cmが目安
e-ヘルスネットによると、私たちの背骨は後頭部から首・胸にかけてと、胸から腰にかけて、2つのS字カーブを描いています。自然に立ったときの腰のS字カーブのすき間は4〜6cmですが、寝た姿勢でいちばん体への負担が少ないのは、すき間が2〜3cmのときとされています[1]。
| 姿勢 | 腰のすき間(e-ヘルスネットの記載) |
|---|---|
| 自然な立ち姿勢 | 4〜6cm |
| 寝た姿勢で体への負担が最も少ない状態 | 2〜3cm |
つまり、マットレスの硬さは「硬め・柔らかめ」という好みの言葉ではなく、あおむけに寝たとき、腰の下に手のひらがやっと入るくらいのすき間が残るかで考えると判断しやすくなります。すき間が大きすぎても、まったくなくても、体のどこかに負担がかかっているサインです。
e-ヘルスネットは、2つのS字カーブをバランス良く支えられ、自分にとって楽で快適な寝相を保ちやすいものがよいとまとめています[1]。
柔らかすぎ・硬すぎのサイン
硬さが合っていないときに起きることも、e-ヘルスネットに書かれています[1]。
| 起きること(e-ヘルスネットの説明) | 家で気づけるサイン | |
|---|---|---|
| 柔らかすぎる | 腰と胸が深く沈み込み、S字カーブのすき間が大きくなる。眠りにくいだけでなく腰痛の原因にもなる | 寝ると腰が沈んで「くの字」になる/起き上がるときに力が要る |
| 硬すぎる | 骨が当たって痛みが出る、血流が妨げられるなどで熟睡できなくなる | 肩や腰骨が当たって痛い/何度も寝返りを打って目が覚める |
寝返りの回数もヒントになります。e-ヘルスネットでは、体が沈み込むような柔らかすぎる布団や、骨を強く圧迫するような硬すぎる布団では、体の負担を減らすために寝返りの回数が多くなってしまうと説明しています[1]。一方、寝返り自体は、同じ場所が圧迫され続けるのを防いだり、寝床の温度や湿気を調節したりする大切な動きです。寝返りを打ちやすく、打ちすぎずに済む硬さが理想です。
マットレスを比べる
硬さの表示(ニュートン値など)、厚さ、サイズ、お試し期間・返品条件を比べて選べます。
硬さの表示方法は商品によって異なります。サイズ・厚さ・返品条件は販売ページでご確認ください。
体型・寝姿勢で変わる確かめ方
同じマットレスでも、体重や体型、よく取る寝姿勢によって沈み方は変わります。家族に合うものが自分に合うとは限りません。売り場や自宅では、次の手順で確かめてみてください。
- 普段の寝間着に近い服で、靴を脱いで寝る:厚手の服や上着のままでは沈み方がわかりにくくなります。
- あおむけで数分そのまま:腰の下に手のひらを差し込み、すき間が大きすぎないか、まったくないかを確かめます。
- 横向きになる:肩と腰が沈みすぎて背骨が曲がらないか、肩が当たって痛くないかを確かめます。
- 寝返りを数回打つ:力を入れずに寝返りできるか、沈み込んで体がとられないかを見ます。
- 起き上がる:腰が沈んで起き上がりにくくないかを確かめます。
マットレスを替えると、合う枕の高さも変わります。体が深く沈む寝具では、枕は相対的に高く感じられます。枕の見直し方は枕の選び方|高さ・奥行き・硬さを首のすき間とマットレスから決めるで解説しています。
敷き布団とマットレスの違い
e-ヘルスネットは「マットレス・敷き布団」をひとまとめにして、どちらにも適度な硬さが必要だとしています[1]。違いは主に使い方と手入れの面です。
| 敷き布団 | マットレス | |
|---|---|---|
| 置き場所 | 床・畳に直接。日中はたたんで収納できる | ベッドフレームの上、または床置き用の厚手タイプ |
| 湿気対策 | 干す・立てかけるなどで湿気を逃がす | 立てかけ・除湿シート・すのこなど商品に合わせて |
| 硬さの調整 | 重ね敷きやマットレスパッドで調整 | トッパー(上に敷く薄いマット)で調整できるものも |
どちらを選ぶにしても、判断の軸は同じです。寝た姿勢で腰のすき間が残りすぎず、寝返りを打ちやすいか。今の敷き布団が柔らかくなってきた場合、いきなり買い替える前に、薄いマットレスやトッパーを重ねて硬さを調整する方法もあります。
買う前に確認したい5つのこと
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 硬さの表示 | 「硬め」の基準はメーカーによって違う。数値(ニュートン値など)が出ていれば比べやすい |
| お試し期間・返品条件 | 一晩寝ないとわからないことが多い。開封後の返品可否・送料・期間を確認 |
| サイズと搬入 | 部屋とベッドフレームのサイズ、玄関や階段を通るか、圧縮梱包か |
| 手入れの方法 | カバーが外して洗えるか、裏返し・上下入れ替えができるか |
| 今の枕との相性 | 沈み方が変わると枕の高さも合わなくなることがある |
寝具を替えても寝つきが悪い場合は、寝室の明るさや温度、音が影響していることもあります。部屋の環境の整え方は眠りやすい寝室のつくり方|光・温度・音を厚労省の睡眠ガイドで見直すにまとめています。
よくある質問
- 腰が痛いなら硬いマットレスがいい?
- 一概には言えません。e-ヘルスネットでは、柔らかすぎると腰が沈み込んで腰痛の原因にもなる一方、硬すぎると骨が当たって痛みが出たり血流が妨げられたりするとしています[1]。適度な硬さが必要です。痛みが続く場合は、寝具だけで判断せず医療機関に相談してください。
- 高反発と低反発はどちらがいい?
- 呼び方より、実際に寝たときに腰のすき間が2〜3cm程度に保たれ[1]、寝返りを打ちやすいかで判断するのがおすすめです。同じ「高反発」でも商品によって硬さは違います。
- マットレスの上に敷き布団を重ねてもいい?
- 重ねると沈み方が変わり、硬さの感じ方も変わります。重ねた状態であおむけに寝て、腰のすき間と寝返りのしやすさを確かめてください。湿気がこもらないよう、手入れの方法も確認しておきましょう。
- マットレスはどれくらいで買い替える?
- 使い方や素材で変わるため一律には言えません。寝ると腰の部分だけ沈む、へこみが戻らない、起きたときに体が痛いなどの変化があれば、硬さが合わなくなっているサインです。
お試し期間や返品条件も含めて比べる
出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」(執筆:有竹清夏 埼玉県立大学大学院 教授、最終更新日 2023年7月6日) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-003(2026年10月10日閲覧)
- William Shakespeare, King Henry IV, Part 2, Act III, Scene 1(Project Gutenberg eBook #1518) https://www.gutenberg.org/ebooks/1518(2026年10月10日閲覧)